幸せが長続きしない理由
日本に住んでいると幸せを感じにくい
人はだれでも幸せになりたいと考えています。
そして、その幸せが長く続くように願っています。
しかし、だれでも経験していることですが「幸せ」というものは一時的なもので、長期間にわたって継続するものではありません。
幸せな結婚をした人には、水を差す言い方かもしれませんが「幸せ」とは永遠に続くものではありません。
それは「小さな幸せ」から「大きな幸せ」まで、どうやら「幸せ」というものは長続きする性質のものでは無いということが、体験としてわかっているからです。
そもそも「幸せ」とは何かといいますと、自分自身の心が「喜び」や「快感」を感じることが「幸せ」なのです。
人がその「喜び」や「快感」を長期間持続させるということは、非常に難しいのです。
なぜかといいますと、人は「喜び」や「快感」に満足すると、だんだんとその満足に慣れてしまい、しだいに満足しなくなるのです。
つまり、「喜び」や「快感」などの満足が、当たり前という感覚に変わり、さらにはもっと上質の満足を求めるようになり、不満へと変わっていくのです。
たとえば、現在の日本の生活水準は世界レベルで見ると、かなり高い水準であると言えます。現在の日本は食料があふれており、飢え死にするという人は、ほとんどいないと思います。
しかし、その一方でアフリカやアジアでは、食料難に苦しむ人たちが存在しているのです。その地域の人が日本に来たら「日本はなんて幸せな国だろう」と思うことでしょう。
現在の日本では食べ物があるということは当たり前のことであり、普通の食事では不満さえ感じているのではないでしょうか。さらに、より上質な食べ物を求めているのが現状だと言えるでしょう。
永遠に幸せならば進歩向上できない
このように、人は「幸せ」に慣れると「幸せ」が長続きしないようになっています。
これは第一章や第二章でお話した通り、人間が進歩向上するために人間の心のなかにプログラムされているからです。
もし人間が、あることに満足して、その満足が永遠に続いていたら、今日のように人類が進歩向上することは無かったでしょう。
それと同じで、人が一つのことに「幸せ」を永遠に感じ続けることはありません。もし「幸せ」を永遠に感じたいと思うのなら、常にどこかで不満を感じ、進歩向上していくしかありません。
人が「幸せになりたい」と希望するのは、もともと人間の心にプログラムされている欲求であり、その欲求があるからこそ人は進歩向上し続けるのです。
世の中で進歩向上し続ける人や企業は、例外なく常に満足していない人や企業です。発明家にしてもそうですが、いつも満足せず、良い意味でどこかに不満を持ち続けているものです。
ですから、ある意味で「幸せが長続きしない」ことは、その人にとって進歩向上するためのステップであり、良いことだと言えるかもしれません。
なぜなら人は進歩向上するために、この世に生まれてきたのですから。