アンカリング効果を応用して人間関係を好転させる
人はある基準を元に比較検討する
人間の心理に「人は最初に提示されたものを基準とする。そして、その基準を元にして他と比較検討して判断する」というものがあります。
よくテレビショッピングや家電量販店のチラシなどで「通常価格55,000円のところ今回限り39,800円で提供」のようなコピーを目にすることがあると思います。
お客様は最初に提示された「通常価格55,000円」を基準に商品の値段を考えるので「今回限り39,800円」という値段を見ると「おっ、安い!」と思うわけです。
人は比較検討する時に、ある基準が無いと比較することができません。
田舎の商店など、その町にお店が一軒しかない場合など、他と比較検討することができないケースは別として、一般的に商品の比較検討は可能だと考えられます。
今の時代はテレビショッピングやインターネット通販もあり、地方であったとしても商品の比較検討をして、自分で納得した商品を買うことができます。
ですから今後は比較検討する機会がますます増え、都会と地方の格差が無くなり、商品の販売競争がますます激しくなってくると思われます。
また行動経済学や心理学では消費者の心理として、最初に提示された価格などを基準にして、商品を比較検討した後に購買することがわかっています。
アンカリング効果で良好な人間関係を築く
人は最初に提示されたものを基準として物事を判断します。
このような人間の心理を心理学では“アンカリング効果”と言います。
この“アンカリング効果”を活用して消費者に対して、比較的価格の高い商品を選んでもらうことができます。
たとえば、メガネ店にAという商品が10,000円、Bという商品が15,000円という価格で販売されていたとします。
そこでBという価格の高い方の商品を売ろうと考えた場合、Bという商品の上に更に高いCという商品を20,000円で販売します。
すると顧客はA、B、Cという商品の中から、松竹梅の法則により中間の価格のBという商品を自然と選んで購入していきます。
このように“アンカリング効果”を活用することで顧客の心理をコントロールして、商品を販売することが可能です。
人間関係において“アンカリング効果”を応用するとすれば、周りの人があなたに対して持っているイメージを基準に、あなたに接するということを考えなければいけません。
どういうことかと言うと、たとえば普段のあなたは頑固であり、人の忠告などはほとんど耳を傾けず「自分の考えは絶対正しい」と思い込んでいる性格であったとします。
この場合、あなたは「頑固者」という悪いイメージのレッテルがはられており、誰もあなたに忠告をすることをしなくなります。
ある時、あなたは自分が「頑固者」という悪いイメージを周りの人に与えているという事実に気づき、周りの人の話に耳を傾けるということを行い始めます。
すると周りの人は、あなたのことを「頑固者」という悪いイメージから“アンカリング効果”により「物事を柔軟に考えられる人」という良いイメージに変わり、以前よりも良い評価をしてくれることになります。
ここで重要なのは「善人が善なる行いをする」のではなく「悪人が善なる行いをする」ことでギャップの差が激しくなり“アンカリング効果”が最大限に発揮されるということです。
そして周りの人があなたに対して抱いていたマイナスの評価は“アンカリング効果”により大きくプラスに評価され、あなたの人間関係は大きく好転することになります。